今回は“専任技術者の実務経験の確認”について、ご説明いたします。
※大阪府を参考にご説明しますが、各自治体により違いがありますので、
必ず各自治体の手引きで確認するようにお願いします
施工管理技士などの資格があれば専任技術者として認められますが、
第2種電気工事士などの資格ですと3年の実務経験が求められますし、
全くの無資格ですと10年の実務経験が必要です。
証明者での工事の実績を(これから申請する様式第9号に)記載した全ての工事について、
工期・工事名・工事内容・請負金額を確認できる書類が必要です。
※証明者とは、証明する会社または個人事業主のこと
①+③、または②+③で各項目ごとのいずれか1つづつ
① 実務経験を要する技術者
■ 証明者が建設業許可を有していない場合
○工事の契約書・注文書・請求書・内訳書等の書類
■ 証明者が建設業許可を有している場合
※過去に専任技術者として証明されていない者の場合はその者の実務経験の期間が含まれていなければならない
○工事の契約書・注文書・請求書・内訳書等の書類
○建設業許可申請書の一部
[受付印のある表紙及び実務経験証明書(様式第9号)]
○変更届の一部
[受付印のある表紙(若しくは完了通知のはがき)及び実務経験証明書(様式第9号)]
○決算変更届の一部(過去に専任技術者として証明されていない者のみ)
[受付印のある表紙(若しくは完了通知のはがき)及び実務経験年数の証明期間に相当する工事経歴書(様式第2号)]
② 指導監督的な実務経験を要する技術者
■ 初めて指導的実務経験が必要な専任技術者として証明される者の場合
○工事の契約書・注文書・請求書・内訳書等の書類
■ 過去に指導的実務経験が必要な専任技術者として証明されている者の場合
○建設業許可申請書の副本の一部
[受付印のある表紙及び指導監督的実務経験証明書(様式第10号)]
○変更届の一部
[受付印のある表紙及び完了通知のはがき及び実務経験証明書(様式第10号)]
③ (様式第9号)、(様式第10号)に記載された経験期間の在籍
※証明者と申請者が同一の場合または過去に建設業者から証明を受けている者については原則不要
・(年金の)被保険者記録照会回答表
・雇用保険被保険者証(申請時点において継続して雇用されている場合)
・雇用保険被保険者離職証(申請時点において離職している場合)
・証明者の実印の印鑑証明書(3か月以内のもの)
・(証明者が個人事業主の場合)
証明者の所得税の確定申告書のうち、
税務署の受付印のある第一表と、専従者欄又は給与支払者欄に内訳・氏名の記載がある書類
わかりづらい部分もあるとおもいますので、例をあげてご説明します。
Aさんが建設会社の小林組で10年間働き、この度、建築一式工事の専任技術者に抜擢されました。
小林組は建築一式工事の許可を持っているので、建築一式工事の契約書・注文書・請求書・内訳書等の書類で実務経験の確認ができますが、これ以外として例えばAさんの先輩のBさんが専任技術者としていたとします。
AさんはBさんが専任技術者になる以前から、ずっとBさんと一緒に建築一式工事をしていました。
Bさんが実務経験で専任技術者になった時の実務経験証明書(様式第9号)はBさんとAさんが一緒に仕事をしていた期間の工事はAさんの実務経験の証明として使うことができます。
工事の契約書などがその期間は不要となります。(Bさんの時に証明されているから)
他にもAさんが勤務していた期間の決算変更届の建築一式工事の工事経歴書(様式第2号)も使うことができます。
ほどなくして真面目で腕のいいAさんに知り合いの他の建設会社である梅中工務店から“うちに来てくれないか”とお声がかかります。
梅中工務店の建築一式工事の専任技術者が事故で長期の入院となり、このままでは会社が成り立たないとの相談でした。
Aさんは悩みましたが小林組の社長にこのことを打ち明けると、
“そうゆう事情があるなら仕方ない。困ったときはお互い様やね。”と、
気持ちよく送り出してくれました。
Aさんは小林組の社長にお礼を言い早速、梅中工務店で働くことになりました。
Aさんは小林組の社長から小林組の建設業許可の申請書(受付印のある表紙と実務経験証明書(様式第9号))を借りてきて、梅中工務店の専任技術者に無事になることができました。
それから2年が経ち、梅中工務店の以前の専任技術者が退院して復帰することになりました。
Aさんはこのまま働くか、前の会社に戻るか色々考えたのですが、実家の松上電気を継ぐことにしました。
父が高齢で人手が欲しいことと、今までの経験と人脈でやっていけそうな気がしたからです。
実家の松上電気は許可無しの個人事業でしたので、せっかくなので電気の建設業許可を取ろうと考えました。
経営業務管理責任者はそのままお父さんになってもらって、第2種電気工事士の資格をもっていたAさんは3年の実務経験で専任技術者になることができます。
梅中工務店は建設一式工事の許可はもっていましたが、電気工事の許可はありませんでした。
ですが登録電気事業者に登録しており、軽微な(500万円未満の)電気工事をしていたので、
梅中工務店での2年間の電気工事の契約書などと、在籍確認のための(年金の)被保険者記録照会回答表を用意できれば、
あと1年間分の松上電気での電気工事の契約書などで、専任技術者としての要件を満たすことができます。
いかがだったでしょうか?
長文になってしまい申し訳なかったのですが、イメージは掴めたとおもいます。
わからないことがあれば、ヴィーノ行政書士事務所までご連絡ください。