今回は“風俗営業許可申請”について、ご説明いたします。
※大阪府を参考にご説明しますが、各自治体により違いがありますので、
必ず各自治体の手引きで確認するようにお願いします。
Ⅰ 風俗営業とは
ここでいう「風俗」とは「世俗」や「風習」等のことで、
一般的にイメージされる性的サービスを伴うとされる営業等に関しては
「性風俗」として言葉の使い分けがされており、
規制の枠組みも「風俗営業」と「性風俗営業」で異なる形となっています。
風適法では接待を伴う飲食店や、麻雀店、パチンコ店、ゲームセンター等の「風俗営業」と
性的サービスなどに関する「性風俗等関連営業」、「飲食店関連営業」の3つが主な規制対象とされており、
これら3つは前述の風俗営業と性風俗営業の様に一部の規定を除き、規制の方法等において異なる形となっています。
「風俗営業」は許可制です。
適正な「人」「場所」「店」の基準を定めて営業開始前に審査を行い、
適合すれば営業許可をいただけます。
Ⅱ 風俗営業許可の要件
①人的条件
風俗営業許可の人的条件ですが“警察庁のホームページ”がわかりやすく、
必要書類も併せて記載されておりますので、こちらをご参照ください。
②構造的条件
構造及び設備の技術上の基準ですが代表的なものを抜粋して掲載いたします。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則 第7条より
【1号営業】(接待飲食店)
1 客室の床面積は、和風の客室に係るものにあつては1室の床面積を9.5㎡以上とし、その他のものにあつては1室の床面積を16.5㎡以上とすること。ただし、客室の数が1室のみである場合は、この限りでない。
2 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
3 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
4 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
5 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
6 第30条に定めるところにより計つた営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
7 第32条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
【4号営業】(パチンコ店、麻雀店など)
1 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
2 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
3 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
4 第30条に定めるところにより計つた営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
5 第32条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
6 ぱちんこ屋及び令第8条に規定する営業にあつては、当該営業の用に供する遊技機以外の遊技設備を設けないこと。
7 ぱちんこ屋及び令第15条に規定する営業にあつては、営業所内の客の見やすい場所に賞品を提供する設備を設けること。
【5号営業】(ゲームセンター)
1 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
2 善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
3 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
4 第30条に定めるところにより計つた営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
5 第32条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
6 遊技料金として紙幣を挿入することができる装置を有する遊技設備又は客に現金若しくは有価証券を提供するための装置を有する遊技設備を設けないこと。
③場所的条件
・大阪府では次の地域で風俗営業ができます。
【用途地域】
商業地域 近隣商業地域 無指定地域
工業地域 準工業地域 工業専用地域
・逆に次の地域では風俗営業できません。
【除外地域】
住居地域、住居専用地域などでは営業できません。
例外的に住居地域などで営業できる場合もありますが、
『保全対象施設』に対する距離の制限は同様に受けます。
ただし、『保全対象施設』と営業所の距離が一定以上離れていることが許可の条件となっています。
大阪府では、風俗営業の許可申請が可能な用途地域なであっても
『保全対象施設(これらの用に供するものと決定した土地を含む)』の敷地から 100M(保全対象施設が商業地域内にある場合は50M)以内では営業できません。
『保全対象施設』とは
『学校』 『保育園等』 『病院』 『診療所』です。
地図を用意して必ず自分の目で調査し確認してください。
『学校』のうち大学について最近では『サテライト校』『エクステンションセンター』など、
ビルの1階に施設を設けている場合がありますので、【教育委員会】に問い合わせてください。
『診療所』は、大阪府下では入院施設としてベッドが1つでも該当します。
HPなどで「入院施設なし」となっていても、かつてあったが廃止の届出を出していない、
または歯科診療所でも入院施設を設置している場合があります。
必ず担当区域の【保健センター】などで確認してください。
Ⅲ 申請の注意点
◇ 場所は決めているか
用途地域や除外地域の確認
営業所と『保全対象施設』との距離
◇ 建物状況を把握しているか
店舗の賃貸借契約書の建物構造と建物登記事項証明書の記載に相違がないか。
状況によっては営業できない(防音、防火、避難、安全性が担保できない)
◇ 営業内容を把握できているか
基本的に「風俗営業」と「深夜酒類提供飲食店」は両立できません。
やりたい業種がどれに該当するのか見極めなくてはいけません。
当然ながら賭博行為や売春など、公序良俗に反することに該当する営業はできません。
◇ 建物所有者は営業内容を承知しているか
「使用承諾書」の作成及び提出
◇ 管理者を設定しているか
風適法の「管理者」とは、「店長」、「ママ」、「マネージャー」のことを指します。
個人の場合は申請者本人、法人の場合は代表取締役やその他の役員、従業員でも差し支えありません。
「管理者」は営業所に常勤し、その業務について理解していなくてはならず、
「身分証明書」や「誓約書」も用意しなくてはいけません。
風適法第24条第3項では管理者の業務として次のような内容をあげています。
「風俗営業者又はその代理人(未成年者に対する法定代理人を指します)、使用人その他の従業員に対し、
これらの者が法令の規定を遵守してその業務を実施するため必要な助言又は指導を行い、
その他当該営業所における業務の適正な実施を確保するため必要な業務で国家公安委員会で定めるものを行うものとする。」
具体的に管理者が、その業務にあたって注意しなければならないことは、次の項目となります。
① 営業者に対する営業の助言
② 従業員に対する指導(構造設備・営業時間・照度・騒音や振動など)
③ 構造設備の点検
④ 年少者立入り時の措置・対応
⑤ 従業者名簿の備付けと管理
⑥ 接客従業者の生年月日の確認に係る記録の管理
⑦ 苦情の処理、記録簿の作成
⑧ 受託業務の管理
⑨ 暴力団対策の推進
⑩ 遊戯料金等のチェック(4・5号営業の場合)
⑪ 遊技機のチェック(4・5号営業の場合)
⑫ 賞品提供のチェック(4・5号営業の場合)
⑬ 違法行為のチェック(風営法の他、特に刑法、売春防止法、労働基準法、青少年健全育成条例等)
◇ 開店日の予定はあるか
風俗営業許可申請の標準処理期間は定められていませんが、
「目安となる期間」として、大阪府では一般的に45~55日となっています。
こちらを踏まえて申請しなくてはいけません。
◇ 反社会的勢力への注意
厳しく取り締まられていますので、誓約書などの署名にご協力ください。
Ⅳ 届出書類
こちらも警察庁のホームページをご確認ください。
“風俗営業、特定遊興飲食店営業許可申請(欠格事由・必要書類)”
提出先は状況により、正本・副本・浄化協会・建築指導部・消防署と5部以上必要になる場合があります。
警察署に予約して申請を行い、後日、立会検査(浄化協会が行う)の日程を決めます。
立会検査では提出した図面・広告・料金表・年少者の立入禁止の表示のチェックなどが行われます。
大阪府下で営業所が地上3階以上及び地下1階以下に存在する場合、市役所建築指導部と消防署による現場検査が必要になります。
この時に消防署への下見依頼書が交付されますが、予めこちらで用意しておくとスムーズです。
消防署の検査では、防火管理者、従業員数、客席数、消火設備(消火器など)、警報設備、避難設備、
防炎表示の確認(カーテン、絨毯など ※表示がない場合は相談者または所有者に確認)などを検査します。
市役所建築指導部の検査では避難路、非常灯、
排煙設備(これに代わる措置[壁クロス等が準不燃材料以上であるか]を講じているか)などを検査します。
いかがだったでしょうか?
要件の把握が難しく、必要な書類も多くかつ作成も難しいです。
わからないことがあれば、“ヴィーノ行政書士事務所”までご連絡ください。